尿が泡立つ原因は糖尿病?
尿の泡立ちは尿に含まれるたんぱく質、あるいは糖による尿の粘稠度の高さが原因となります。糖が尿と一緒に出てくるのは、血糖値が160mg/dlを超えた段階です。糖によって尿の粘稠度が高まることで泡立ちを発生させます。
一方、尿にたんぱく質が混じるのは、腎臓の細い網目の血管である糸球体が損傷してしまうことに原因があります。糸球体には血中の塩分や老廃物をろ過する働きがあるのですが、糖尿病によって血液がドロドロになると、その血液が血管を傷付けてしまい、たんぱく質が網目を避けて尿に混じります。
また、本来たんぱく質は体に必要とされる栄養素であるため、尿にたんぱく質が含まれる状態が続くとネフローゼ症候群という栄養失調に類似した疾患を引き起こしてしまうため注意が必要です。
糖尿病の尿の特徴とは?
健常者と糖尿病患者の尿を比較すると、糖尿病患者には下記のような特徴が見られます。
尿の色
通常の尿の色は淡黄褐色あるいは淡黄色ですが、糖尿病を患っている場合の尿の色はほぼ透明に近い色をしていることがほとんどです。
これは、高血糖の状態が続いているとのどの渇きが強くなるため、水分の摂取量が増えて排泄の頻度が高くなることが原因です。
健常者であっても水分の補給を多く行うと、透明な尿が見られます。色の濃い尿が出たことで糖尿病の心配をされる方が多いですが、その場合は基本的に糖尿病である可能性は高くありません。ただし、糖尿病の方が尿の量が増えた状態で水分補給を十分にできていない場合、体が脱水気味になって色の濃い尿を排泄することもありますので、病院を受診しましょう。
尿のにおい
糖尿病を患っている場合、多くのブドウ糖が尿に含まれるため、尿から果実のような甘酸っぱい・甘い独特のにおいを発します。しかし、尿のにおいは飲食物からかなり大きな影響を受けるため、コーヒーを4~5杯飲めば尿からはコーヒーのにおいがしますし、ビタミン剤などを服用するとビタミンのにおいが感じられます。そのため、尿のにおいだけでは糖尿病か否かの判断は難しいです。
尿の泡
尿に糖やたんぱく質が含まれるようになるため、糖尿病の方の尿は泡立ちます。これは、腎機能の低下によって尿にたんぱく質を含んでしまう原因です。
健常者の方の尿は泡立ちが発生してもすぐに消えますが、たんぱく質が混ざることで発生した泡は短時間では消えないという特徴があります。尿に泡立ちが見られた際に、どの程度の時間で泡が消えるかを確認することで、糖尿病かどうかの指標の一つになります。排尿した際に気になることがありましたら、お気軽に当院までご相談ください。
糖尿病以外で尿が泡立つ原因
糖尿病を患っていなくても、尿の粘稠度が高まることで尿の泡立ちが発生します。
下記は尿の粘稠度が高くなる主な理由です。
- 冬の乾燥した状態、もしくは運動後や夏場に汗を多くかいている時に、水分の補給量が不足している場合
- 多発性骨髄や白血病といった血液の疾患による影響で蛋白が急激に増加し、尿に蛋白が正常よりも多く含まれている場合
- 腎臓の疾患による影響で多くの蛋白が尿に含まれて排泄されている場合
排尿の度に尿の泡立ちを確認できる場合、糖尿病をはじめとする何らかの疾患の影響を受けている可能性があります。糖尿病が原因で尿が泡立っている場合は、血糖値がもうその時点で高い数値になっていることが多いです。尿の泡立ちを感じるようになったら、すぐに医療機関で尿糖や血糖値の診断を受けることおお勧めします。
尿が泡立つ病気は他にもある?
腎臓病
腎臓病は腎臓の機能が低下してしまう疾患です。
健康な状態の腎臓は主に老廃物などをろ過して尿を生成する働きがありますが、機能が低下している場合はたんぱく質の吸収が上手くいかず、尿と一緒に排泄されて泡立ちを発生させます。
自覚症状が乏しいという特徴があり、症状が進行してからでないと倦怠感やむくみなどを確認することができません。
治療を行わずに放置すると疾患が悪化して腎不全を引き起こします。腎不全になると腎臓の移植や透析による治療が必要となるため注意が必要です。
ネフローゼ症候群
尿にたんぱく質が含まれて体から排出されることで、血中のたんぱく質が不足してしまう状態になるのがネフローゼ症候群です。
尿の泡立ちの他にも倦怠感や体重の増加、むくみなどの症状が見られるようになります。
また、ネフローゼ症候群には2つの段階があり、それぞれ一次性ネフローゼ症候群・二次性ネフローゼ症候群と呼ばれています。
薬物療法で一次性ネフローゼ症候群は治療できますが、二次性ネフローゼ症候群は一次性ネフローゼ症候群と発症の原因が異なるので、薬物療法とは別の治療方法が必要です。
尿が泡立つ時の改善方法
定期的な受診・検査
(血糖コントロール)
血糖値が高いと尿に含まれる糖の濃度が濃くなってしまうため、尿の泡立ちが発生します。
運動療法や食事療法、必要に応じてお薬による治療を行うことで高血糖の状態を解消し、尿の泡立ちを防げます。
適切な水分摂取
1日に1,500ml以上の水分を摂取するように心掛けることで、尿の濃度を薄めて泡立ちを抑えられることが期待 できます。
健康的な生活習慣の維持
過度なアルコールの摂取と喫煙は尿の泡立ちを発生させる原因として考えられています。
そのため、アルコールを飲む際は適切な量を意識し、喫煙はできる限り控えて生活習慣の乱れを正すことを心掛けましょう。
また、排尿の我慢を繰り返してしまうと炎症によってウイルスや細菌の感染を引き起こしたり、尿の濃縮に繋がるリスクがあります。
尿意を感じたら我慢せずにこまめにトイレに行くようにすることが大切です。それでも改善しない場合は当院までご相談ください。